キーヤンに見る琳派の系譜
カテゴリー:Ki-Yan Stuzio
2015.04.26
先月、京都高島屋さんにて「細見美術館 琳派のきらめき」展を鑑賞してきました。
多彩な琳派のコレクションで有名な細見美術館さんの所蔵品の中から京都・大阪・江戸それぞれの都で花開いた琳派の特徴と魅力が紹介されていました。
今年は琳派誕生400年記念ということで京都市では様々なイベントや展示が目白押しです。これだけ行政を挙げて盛り上げているのは京都市だけなのですが…
この機会に、ぜひ全国の皆さんに往年の琳派と併せて現代の琳派と称されるキーヤンにもっと興味を持って頂けたらと思っております。
ちなみに展覧会作品の写真は図録を撮影させていただいたものです。
それではこの展覧会で感じた、琳派と共通するキーヤン作品の特徴を3つ挙げてみます。
①動植物などの身近なモチーフ
鯉、金魚、蓮など身近で実際目にできるものが多いです。
展示作品の1つ、神坂雪佳の『金魚玉図』部分
真正面からの斬新な金魚!何なんでしょう、この脱力系の顔は(笑)
こんな感じの金魚、他にも見たことあるような…。
そう!愛知県愛西市の金魚錦鯉センター丸富さまに描かれているキーヤンの金魚です。
間の抜けたゆるい可愛らしさに思わず笑ってしまいます。それにしても本当に面白い顔をしてますよね(笑)
どちらも左右対称にデザイン化されています。
真正面といえばこちらも。
最初は何なのか分かり辛いですがよく見ると亀です。商品の手ぬぐいを撮影しました。こちらは平安神宮前の峯嵐堂さんに描かれたものが基となっています。
②金と銀
作者不詳『四季草花草虫図屏風』
右隻には金地に春から夏にかけて、左隻には秋から冬にかけての草花や昆虫が描かれています。金と銀を組み合わせる趣向は江戸琳派が得意としていました。
右隻一部
左隻一部
銀が酸化し黒ずんでいるのが残念ですが当時は輝いてさぞ美しかったことでしょう。
一方、こちらは祇園大茶會で八坂神社さんに飾られていた先生の四季図屏風の一部です。
秋
夏
前者は春夏に金地、秋冬に銀地を用いていましたが、後者は逆の使い方をしています。
この違いがとても興味深いですね。
はんなりとは、派手なものが上品になることだと先生は仰っていましたが、これぞはんなりと言える作品ではないでしょうか。
③構図の巧みさ
本阿弥光甫『梅に鶯図』部分
小枝が画面中央を貫き緊張感とアクセントを加えています。このように線で画面を分断するような構図は他の日本絵画にも見受けられます。
大型作品だと俵屋宗達「風神雷神図屏風」の構図が有名ですが、全てを画面の中に収めず画面から“はみ出す”ことでスピード感や躍動感が表されています。
“はみ出す”といえばキーヤンの壁画を表現するのにぴったりな言葉ですね。
本店2Fの鯉のLEDライトと壁画です。
突然左下からぬっと巨大な鯉が現れ…
右上へと群れて上昇しています。
今にも泳ぎだしそうな、というより泳いでいる一瞬を切り取ったかのようです。
この限られたスペースでこんな素晴らしい構図を他に誰が思いつき、表現出来るでしょうか。
血の通った温もりや表面のぬめりまでもイメージできるのは構図の良さだけではなく、迷いの無い鋭さや力強いうねりが線に残っているからだと思います。
Ki-yan Stuzioで商品に描かれた向日葵をイソギンチャクと間違えられるお客様もいらっしゃるくらい、静物の植物でさえ蠢く(うごめく)ような生命力に満ち溢れています。
また、他の壁画を見るとよく思うのですが普通は空間が主体で、空間に合わせて描くため制約を受けてしまい
どうしても縮こまったというか、閉じ込められているような印象を受けます。
しかし先生の場合は空間を完全に支配下に置いてしまい、空間の制約、不自由さを全く感じさせないものばかりなのです。
この展覧会は全国4会場を巡回しており、
横浜高島屋さんは現在開催中で4月27日まで、日本橋高島屋さんは4月29日〜5月11日までの予定です。
お近くの方はぜひ展覧会に足を運び、日本の粋に触れてみて下さい。その上でキーヤンの壁画を鑑賞すると一味違った楽しみ方ができると思いますよ^^