【KYOTOグルメ&アート】c.2-5/青蓮院門跡
カテゴリー:お知らせ, KYOTOグルメ&アート
2022.10.21
<KYOTOグルメ&アート連載>
キーヤンの壁画を見ながら食事やお買い物を楽しめる京都市内のお店を、日/英 バイリンガルで紹介する、京都ガイドブックとしてもオススメのこちらの一冊。
Chapter2〈BLUE〉-5【番外編】は、東山粟田口の「青蓮院門跡」さん です。
華頂殿の襖が、私を待っていてくれた。
ナマ・サマンダ・バサラダン・センダ・マカロシャナ・ソハタヤ・ウンタラタ・カンマン
新年の護摩焚き行事に供して5年になる。その帰り、華頂殿にて善哉を馳走になった。 そこで白い襖を見て、私は「これに絵を描きたい」と呟いたようだ。
還暦を前に絵を描きだして2年足らず、そんな私が大胆な事を思いついたものだ。 昨秋(平成16年)、青蓮院で催された『にっぽんと遊ぼう』の窓口になった執事の高木 英勝さんを通じて、ご門主に襖絵の構想を提案することになったが、白書院、華頂殿に六十面の襖絵を描くというのに、不思議なくらい自然体で臨むことができた。『にっぽんと遊ぼう』の呼びかけ人・代表の高見重光氏もご奉納に賛同してくれた。 すでに襖の下地は仕上がっていた。その六十面の白い襖は仮貼りの姿で私を待っていてくれた。何か因縁めい たものを感じたのを覚えている。
「本金、岩絵具、膠に漆といった伝統的な画材にこだわらず、現代の画材、アクリル・ガッシュとネオ・カラーで描きたい」とご門主に伝えた。そして「もし、俵屋宗達や伊藤若冲が現代に生きていたら私と同じ考えの筈です」と付け加えた。それを聞いていたご門主は 静かにお笑いになった。伝統に媚を売りたくない私を理解してくれた。
制作の2ヶ月間、ただ夢中だった。早朝、蓮をスケッチに天龍寺、勧修寺へ足を運んだ。蓮の花と葉っぱが、私のリズムで展開しだした。ロックやポップ・アートを生き様としてきた私が、違和感なしに襖絵の中を駆け抜けた。
平成十七年二月 木村英輝
*奉納記念冊子から抜粋
【おまけ】 2005年当時の制作風景
いかに特別な制作だったかがわかる、綿密に描き込まれた下絵。提案初期の大きな蓮の構図も見えます。
ご夫妻で、制作期間はわずか2ヶ月。
木村英輝の代表作、蓮の襖絵60面はこうして生まれました。
青蓮院門跡 SHOREN-IN TEMPLE
京都府京都市東山区粟田口三条坊町69-1
075-561-2345
次回はフルーツパーラーヤオイソさんです。お楽しみに。
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