【 Ki-Yan コラム Vol.8 】"もし、壁画を描いてもらえるなら"
突然ですが、
もし、自分の店や家に、どこでも壁画を描いてもらえるとしたら、
どこが良いですか?
玄関や応接間、リビングなど。
人が多く集まる場所が良いかもしれません。
大きな壁がある場所を思い浮かべる方も多いでしょう。
光がたっぷり入る部屋なら、金縁の輝きが立体感を増し、
刻一刻変わる表情も楽しめますね。
空気の流れを生み出す達人、木村英輝。
壁に凹凸があればある程燃えるし、
躍動感溢れるダイナミックなモチーフの美しさを引き出すには、
ワイドにのびのび描いてもらうのが正解!
しかし、木村英輝壁画の魅力は、
大きな壁だけで発揮されるものではないのです。
彼の遊び心を刺激したいなら
アシスタントとしては、"お手洗い"を、お勧めいたします。
-----トイレなんて、狭いやん!壁もほとんどないやん!
という声が聞こえてきそうですが、ご安心を。
お手洗いには、壁を倍に写す"鏡"と、モチーフをより躍動的にみせる"天井"があるのです。
元来、側壁から天井へ、はたまた天井から側壁へと、
縦横無尽に駆け回るモチーフが魅力の木村英輝作品。
柱と壁に囲まれた小さな部屋は、
彼にとって、格好のキャンバスになるのです!
そして、何よりプライベートなその小さな空間は、
訪れたものをすっぽり壁画の世界に包み込むのにちょうどいい場所なのです。
京都は岡崎のホテル トラベラーズイン様のお手洗いには、
ロビーの華やかな四季の花に負けないくらい大胆な"ダリア"が。
そしてその花は、鏡を見たときには、
後光のように、人の背後に燃えるように咲き誇ります。
また東京のクリエイター集団"team☆Labo"様の
男子トイレには勇ましく明るい"象"を、
女子トイレには"オーサカのオバチャンのようにパワフルなクリエイターであれ!"という
裏メッセージをこめた、"ジャガー"たちを!
珍しい、個人宅のお手洗いには、
床から天井まで、半円型の緩やかなアーチを描く壁面に、
今まさに飛び立とうとする美しく繊細な"タンチョウヅル"が一羽。
京都高倉御池のエステの1人用のトイレには、
天井から側壁までお部屋いっぱいの大輪の真っ赤な"牡丹"を。
どれも、ドアを開けた瞬間に、
思わず声を出してしまうような、びっくり箱のような驚きがある、
ユニークな物ばかりなのです。
"ギャップ"が魅力!
それは、"出たとこ勝負の力強さ"と、
"賽を投げたように自然"であることと共に、
木村英輝壁画を見るうえで、鼎の一足を成す、
大事な要素であるように思います。
見る人の心を惹きつけてやまない作品の裏には、
その誰よりもお茶目で遊び心溢れた、"描く楽しみ"が、
たっぷり詰まっているのでした。
"もし、壁画が自分の元にやってきたなら…"
夢が、膨らみませんか?^ ^
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