Ki-Yan Stuzio MailNews
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2016.06.10

今回はKi-Yanコラム。
木村英輝先生の魅力を、壁画制作アシスタントとして、
いつも側にいる西嶋の視点で コラム形式でお伝えします。

壁画制作の裏側と共に、先生の制作へ向き合うロックな姿勢を
綴っています。ぜひご覧ください!

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【 Ki-Yan コラム Vol.4 】"マツダスタジアム制作秘話"

木村英輝の真骨頂は、ズバリ、"ぶっつけ本番"にあり。

手にした数枚のスケッチだけで目の前の壁、
もとい空間全てに対峙する時の緊張感。

最初の一筋のチョークの下書きが壁に走る瞬間は、何度側で見ていてもゾクゾクします。

制作過程から人を惹きつけてやまない、スーパーパフォーマンス。

マツダスタジアム集合写真

以前にこんなことがありました。

2013年に完成した広島東洋カープのホーム広島マツダスタジアムの大壁画は、
縦5m、横幅は・・・

「30mや。そこに鯉を108折描くつもりや。
野球の硬球は、108の縫い目があるらしいから、 その数でいくわ。」


30mに108折の鯉。

聞いただけでクラクラするような数字は、
我々に初めて、一斗缶入りの大量の絵の具と、
追加のスタッフを用意させました。

しかし制作当日、現場で我々を待っていたのは。

「60mやったわ」

「えええーーーーー!!!!???
60m?!?!倍じゃないですか!」

どうりで端から端が見えないわけだ。。
何かの連絡の食い違いで30mと、先生に伝わっていたようでした。

ここで、仮に30m分の鯉の下書きをキッチリ用意していたなら、
再度下書きをするために時間を要ししてしまい、
さらに予め用意された2週間の制作期間も倍に伸びていたことでしょう。

それでは、マツダスタジアムの一大イベント、ファン感謝デーには到底、間に合いません。

この巨大で長大な壁面を前に、制作は頓挫していたでしょう。

どうしよう。連日徹夜かもしれない。一瞬青くなるスタッフを尻目に、

「ほな、60mに108折描いたらエエんやな。」

手には、そう、"数枚のスケッチ"。
ガリガリガリガリ!!

その瞬間、チョークが巨大なストロークを描き、
瞬く間にたたみ一畳はある大鯉の"頭"が出現しました。

そして振り返ると、
「こんなんすぐに描けるの、俺くらいやで。」と、ニヤリ。

これぞロック。

木村英輝

この空間把握力、
人を感服させてしまうパフォーマンス、
そしてアドリブで壁面にいきなり描き出せる度胸。

どこまでカッコいいんだ木村英輝!

我々もハッとしたように、絵の具と筆を握り、
先生の線を必死に追いかけます。

この時の心地よさは、アシスタント冥利に尽きます。
なんてカッコいい人の側で働けているんだろう!

そして、下書き、金の縁取り全てを2日という恐ろしい早さで進め、
その翌日からは、地元の美大生たちに助けられ、
制作はなんと当初の2週間を短縮して、10日間で完了。

迷いない先生の線には、我々アシスタントも迷いません。
夢中で描く先生の後は、我々も夢中で描くしかありません。

制作風景

パソコン上でのデザイン技術や
印刷物の技術が目覚ましく発達した昨今だからこそ、
この大仕事に、ただ一本のチョークで立ち向かうキーヤン壁画に、
人々は感動するのでしょう。

壁画を見る時には、
こういった背景に思いを馳せてみるのも、オススメです!

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Ki-Yan Stuzio MailNEWS / 2016.06.10
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